文化・芸術

インドの勢い - チャロー・インディア

六本木ヒルズにある森美術館に「チャロー インディア - インド美術の新時代」を観に行った。森美術館は、時々現代美術で面白い美術展をやってくれるし、夜遅くまでやっていて手軽に楽しめるので、私のお気に入りの美術館の一つである。
チャローとはヒンディー語で「行こう」を意味する言葉らしい。なんだか元気なインドを象徴しているような言葉だ。この展覧会には27組、100点以上の作品が展示されている。知らない作品ばかりなので、オーディオガイドを借りて聞きながらまわった。
作品は日本にいたら思いつかないような破天荒なもの、宗教対立や階級制度を表現するもの、IT大国らしく、先端技術を使用した動きのあるものなど様々。作品に美術館から見える東京の景色を取り入れたものなどもあって、素直に楽しかった。
もちろん作品には、かつてイギリスに支配され、今だに宗教戦争があり、貧富の差が激しいインドの現実を投影した作品もあるのだが、根底に流れるものは、なんていうのだろう、将来に希望をもった、おちゃめな作品が多いのだ。色彩も全体的に華やかだし。
こういう前向きな作品、元気がもらえるから好きだ。
この前アカデミー賞を受賞した「スラムドッグ&ミリオネア」もそういえば、監督はイギリス人だが、ストーリーはインドのスラム街を抜け出す少年の話だった。
米欧や日本みたく先進国と呼ばれている国が不況に見舞われているからこそ、インドみたいな次の地位を狙っている国に油断していると食われちゃうかもしれない。もう少し元気を出さないといけないかも・・と思いながら寝不足の体にムチ打って、渋谷に打ち合わせのため向かったのであった・・・

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ネオ・トロピカリア - 東京都現代美術館

木場にある東京都現代美術館に、「ネオ・トロピカリア」を母と観に行った。これは、60年代から現代まで、160作品に及ぶブラジルの現代美術を紹介するもの。ネットで見ても色が鮮やかで、楽しめそうだなと思い、実家からのほうが近いので、帰省したついでに行くことにしたのだ。
東京都現代美術館は都心にある美術館に比べてかなり広くて、作品も大きいものが展示してあって、アートを体験できる空間もあって楽しめるから、電車のどの駅からも離れていることを除けば、お気に入りの美術館である。又、他の日本の美術館、特にデパートスペースのように作品がガラスケースに入っていて光って見えなかったり、床にこれ以上近寄るなという線が引かれていることもないし・・あの鑑賞する人間を疑うような態度ってどういうつもりか理解できない。
ネオ・トロピカリアは、絵あり、コスチュームあり、建築ありで、いろんな角度からブラジルの現代美術が紹介されていてとても面白かった。思ったとおり、作品の大半はカラフルな色合い。ルイ・オオタケがサンパウロ最大のスラム街の住宅にカラフルな色を使用して、外観を変えてしまうプロジェクトなんかは元気を与えてくれた。
常設展は来るたびに見ているからいいかなーと思いつつ、又、アメリカンポップアートでも観るかとこちらも覗いてみると、「サヴァイヴァル・アクション」と題する新収蔵作品が展示されていて、見たことないものがほとんどであった。入口にあったのは、トビアス・レーベルガーのガレージであったが、あとはほぼ全部日本人の作品。外国人もずいぶん観に来ていたが、なるほどこれならジャパンアート楽しめるかも、と思わせるものばかりだった。
割と遅くに行ったのだが、カフェテリアもレストランも営業していなくて、美術館の外には喫茶店一つない場所なので、「開いているだけましと思ったほうがいいのかなー、所詮東京都の施設だもんね」と私と母はぶつくさいいながら、いつ来るか見通し立たないバスに乗るために外に出たのであった。


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パサジェルカ

すごく久しぶりに演劇を観た。場所は、天王洲アイルにある銀河劇場。天王洲アイルには、EMIミュージック系列の「TERRA STUDIO」という音楽スタジオが寺田倉庫のビルにあって、昔アレンジャーのマネージャーをやってたときに、時々そこで録りをやっていた。その時はあまり建物がまわりになくて、夜はかなり寂しいし、結構見晴らしがよかったんだけど、久しぶりに行ってみると、既に一つの街、が形成されていた。
私が観に行ったのは、男性だけの劇団「Studio Life」の公演「パサジェルカ」。これは、ポーランドの作家ゾフィア・ポスムイシの原作を劇団唯一の女性倉田 淳さんが脚本化したもの。昔アウシュビッツ収容所に勤務していたドイツ人が収容所で世話をしたユダヤ人とそっくりの人間と出会って、過去を暴かれる・・って結構重そうな内容だったので、前の日に、友人と遊び過ぎて4時間くらいしか寝てなかった私は、もし面白くなければ爆睡、を覚悟していたのだが、面白くて、結局一睡もせずだった。
最初は、女性二人が主役なのに、見るからに男性、が女装をしているものだから、「うーん、おかまの女装みたいだ」と違和感を覚えていたのだが、時間が経つうちに、あんまり気にならなくなった。が、ユダヤ人の女性の婚約者が偶然収容所で昔の婚約者と再会し、二人の逢瀬をドイツ人女性が手助けするときに「同情」だの「嫉妬」だのって語りが出てくると、「男なんだけど、女役やってるわけで、いまの同情は誰から誰?」と混乱してきて、なんだかそれも含めて面白かった。
アウシュビッツと言えば、ワシントンの「ユダヤ人博物館」を思い出す。膨大な資料と展示の妙で、ヒトラーがユダヤ人にどれだけ残酷なことをしたのかを、体験として理解することができる。圧巻は、ガス室で死んでいく人々の写真。ガス室を上から覗き込んでその姿を見るような展示方法で、目をそむけたくなるし、うなされそうなおそろしさだけど、事実なのである。ワシントンには、スミソニアンの様々な博物館や美術館があって、みんなタダで入れるのであるが、ユダヤ人博物館にも足を運んでほしい。
パサジェルカは、結局ラストがなんとなく曖昧なままに終わることがかえって余韻を残してくれて、印象深かった。Studio Lifeの公演、機会を見つけて、又観に行きたいなと思う。

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ヴィルヘルム・ハンマースホイ展

上野の国立西洋美術館で「ヴィルヘルム・ハンマースホイ」展を観てきた。

今日は今年一番の冷え込み(だと思う)で、最近まで暖かかったのに、急に夏から冬になった感じ。日本には四季があるっていうのが、売りだと思うのだけど、最近は秋とか春をほとんど感じないうちに季節が変わる。2001年にニューヨークに住んでた時に、東京から遊びに来た友人が真顔で「日本は温暖気候から熱帯気候に変わりつつあるんだよ」というから、「まぁた、冗談を」と言って信じなかったのだが、戻ってきて以来、夏はものすごく暑くて、冬はニューヨークの同じくらいと感じることが多くなって、本当だったんだと実感。夏は熱帯気候で、冬はもっと寒いのはなんだっけ、ツンドラ気候?これも地球温暖化のせいなんでしょうか?

それはともかくとして、早くいかないと混む、と思って10時過ぎに出発して、「ぎょえー寒い!」と思いながら上野に11頃到着すると、高年齢層をを中心にすごい人。美術館の中も混んでたらいやだなーと思いながら中に入ると、絵によって混んでいたり、空いていたり。絵の解説をしているヘッドフォンとレコーダーが借りられるのだが、その解説が付いている絵の前にはヘッドフォンマークと番号がふってあって、そこだけは、みんな解説聞きながら立っているので、他の絵より人ごみになっているのである。どうなんでしょうね、あれ。

ハンマースホイは、19世紀末から20世紀初めに活躍したデンマークの画家で、その写実的な表現が17世紀オランダで活躍したフェルメールと似た部分もあってか、最近改めて注目を集めているらしい。もちろん私も今回の展覧会までその名前は全く知らなかった。絵は、一言でいうと「全部静物画」。肖像画や人物が含まれる画も多くあるのだが、みんな背景の部屋と同様動かない。そして、描かれる絵のほとんどは、輪郭がぼやけていたり、椅子の脚の数が足りなかったり、不安感を掻きたてるものばかり。全く明るさや希望を感じさせないのである。でも、だからこそ、ずっと見ていても飽きさせない不思議な絵であった。肖像画や室内描写でも妻のイーダが何度か登場するのだが、肖像画はこれが30代の女性?と思うくらい目の下にはクマ、疲れが現れていたり、室内描写はほとんど後姿で、静物画状態なので、別に彼女である必要ないのでは、という状態である。思うに、明日がどうなるかわからないこの不景気の人々の感情にぴったりくる絵でもある。久々にいい展覧会を見ていい気分であった。
せっかくなので、西洋美術館に行くたびに観ている常設展も覗いた。ルノアールの1点くらいしか覚えてなかったが、ゴーガンとかマネとか、印象派の作品がいっぱいあって、改めて自分の記憶力のなさにびっくり。西洋美術館の中庭からは、色づき始めた紅葉を見ることができて、これも収穫だった。

すっかり冷えて帰ってきたので、うどんをゆでて、たぬきうどんにして食べる。やっぱり冬は鍋とうどん、ですね。

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