グーグルの書籍検索と作家の削除要請
先日グーグルの書籍検索サービスについて、日本文芸家協会が、同協会に著作権管理を委託する作家2,200人が削除を希望していることを明らかにした。デジタル化の対象になっている作家4300人にアンケートを送付し、回答があった2,797人のうち1,197人が完全削除を求め、149人がデジタル化は認めるがネットでの表示は拒み、283人のみがデジタル化と分配を受けるということである。私は、このサービス最初に知ったときは、「さすがグーグル、やっとこういうサービスが始まるのか」と喜んでいた。
グーグルの書籍検索サービスは著作権が切れたり、絶版となった書籍が対象であり、別に今著作権が継続している作品をただでデジタル化しようというわけではない。書店や図書館に行っても探せない書籍を検索だけで探せるとしたら、こんなにありがたいことはない。でも、たぶんほとんどの作家は反対するんだろうなあと確信に近い気持ちを持ちながら結論を待っていた。なぜなら日本文芸家協会といえば、あの三田誠広氏が知的所有権委員長を務め、日本の小説その他の作品の著作権を作家の死後50年であるところを、欧米に合わせて70年にする延長賛成派として文化庁著作権審議会その他の会議でも広く発言されているのを耳にしていたからである。素朴に考えて、自分が死んでから50年の長きにわたり著作物として保護されているだけで十分だと思うのに、それを”欧米が70年だから”という理由で延長しなければいけないというのが私には理解できない。いろいろな思惑があってそれぞれ延長したのであって、すべての欧米諸国が70年というわけではないし。そういう方が幹部でいらっしゃる協会なので、たぶん権利を守るという方向性なんだろうと思っていた。
しかしながら、絶版や著作権切れたもののデジタル化を拒否すれば、それはほとんどの場合、人の目にふれなくなる=お金を得ることができない、となる可能性が高いのではなかろうか?特に、本は有名作家を除き、どんな作品かわからなければ、買おうという気にはあまりなれない。音楽なら、まだラジオ、CMや映画のテーマなどで耳にする機会があり、気に入れば知らないアーティストのCDや楽曲を買うことはあるが、作品には絶版になればそのチャンスは無に等しい。確かにデジタル化されることによってコピーされる可能性は高くなるが、そうしたおそれから権利をキープする方向にいってしまった音楽の著作物は、結局i-tunesのような世界的で、そしてハードを売るための手段として安価に音楽が買えるようなシステムを結果受け入れざるを得なくなり、デジタル化は儲からない、ことになってしまったのだと思う。i-tunesより早い時期にレコード会社がデジタル化を積極的に推進していたら、もう少し高い料金で、もっと質のいい形でユーザーに届けることが可能だったのではないだろうか?
容認した293人の作品がデジタル化されて、それがユーザーの目にとまり、利益が還元された結果、彼らが勝者となることを楽しみに待っていたい。
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