著作権法とフェアユース - 早稲田大学の公開講座
10月から早稲田大学でJASRAC公開講座「著作権侵害をめぐる喫緊の検討」が始まった。これは早稲田大学の知的財産法研究センター共催で、このセンターは年に何回か知財関連の講座を開催しているが、今まで何度か聞かせていただきお世話になっている。この講座は12月まで六回のシリーズで著作権についての法的な問題を取り上げたもので、誰でも聴講できる
。
第一回は、知財高裁の裁判官で、先日弁護士に転じられた三村氏による講義で、実際に著作権侵害裁判の具体例をあげた大変わかりやすい説明を聞かせてもらった。こんな面白い講義を無料で聴講させてもらっていいんだろうか、JASRAC好きじゃない(アレンジャーのマネージャーをやっていたときには、権利者の味方、というよりは、官僚的応対でずいぶんいやな思いをした)けど、ありがとう、とお礼を言いたくなる。
第二回はコンテンツ流通のために著作権ができること、改定されるべきことを2人の弁護士が、今議論になっている米国著作権法のフェアユース導入も含めて討議するものであった。
フェアユースとは言葉通り、著作権者以外が著作物を使用した場合に、この条文にあてはまるかどうか、公正な使用かどうかを検討するもので、日本の著作権にも導入が検討されているものである。アメリカの著作権法は著作物の無許諾使用いては、使用の質と量、市場を奪ったかどうかなど四つの条件を満たすかどうかを一つ一つ検討していくもので、主に著作権侵害の裁判において使用されるものである。アメリカは判例法の国なので、そういった著作権の判決が法を形成していくことになるのだが、日本の著作権のように、はっきり例外を明文化したほうがてっとり早いのに、とアメリカで勉強していたときに、膨大な判例を前にため息つきながらそう思っていたものである。
だから、フェアユースが日本の著作権法に導入を検討されていると聞いたときに、歴史的背景が違うんだから、米国とイコールでは考えられないほうがいいのでは、とまず思った。そのうちコンテンツ振興のために著作権法改正を、という動きのなかに、このフェアユースも含んで議論されるようになった。幸い、来年1月1日から施行される著作権法改正にはこのフェアユース議論は反映されなかったが、この議論が出るたびにコンテンツの流通サイドがその振興のために改正が必要であるという方向にいくのが気になっていた。著作権関連はもともと文科省の管轄であるが、コンテンツ流通については経産省が主導し、小泉政権のときに作られた知的財産戦略本部は内閣府と、まあ官公庁の縦割り主義で協調していないことも議論がまとまらない原因。
そして、今日第三回を聴講したのだが、今日の講義は弁護士でありながら詩人としても著名でいらっしゃる中村 稔先生。著作権は保護と流通の両方の立場から考えなければならないということを強調されていた。いちいちうなずけるご意見が多く、次回も楽しみな講座である。次回以降からの参加、気に入った講義のみの参加も可能なので、ぜひ聴講されたい。
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